【DIVO】20〜25銘柄の優良株に「狙って」コールを売るETF

ここ最近、SBI証券と楽天証券で新しく取扱いが始まった米国ETFのラインナップを眺めていて、手が止まった銘柄がありました。

その2本が DIVOQDVO。どちらもAmplify社の商品で、運用戦略を担当するのも同じCapital Wealth Planning(CWP)という会社です。姉妹ファンドと言っていい関係ですが、狙いは正反対で、DIVOは「インカム主眼」、QDVOは「キャピタルゲイン主眼」。同じ手法を使いながら、アクセルの踏み方が逆向きになっています。今回はDIVOの紹介をします。

この記事でわかること

DIVOがどんな銘柄をどう選び、どのタイミングでコールを売っているのか。カバードコールETFの中でも珍しい「個別株に対して、狙って売る」という手法の中身を、公表されている運用ルールに沿って具体的に解説します。あわせて、実際の構成銘柄と分配金の実績、そして私自身がこの商品をどう評価しているかまでをまとめました。

DIVOの基本データ

正式名称Amplify CWP Enhanced Dividend Income ETF
ティッカーDIVO
上場市場NYSE Arca
設定日2016年12月14日
経費率0.56%
分配頻度毎月
NISA成長投資枠対象外
最低購入金額約$48(2026年9月1日時点)
国内取扱開始SBI証券:2026年7月28日/楽天証券:2026年8月14日

運用実績は以下のとおりです。

  • 株価:$48.39(2026年9月1日終値)
  • 純資産総額:$7.91B
  • 分配金利回り:4.82%(年$2.34/2026年8月28日時点)
  • YTDトータルリターン:12.4%
  • 3年年率リターン:16.8%
  • 5年年率リターン:11.6%(いずれも2026年8月28日時点)

設定から10年近く、純資産は$7.9B規模。カバードコールETFとしては、すでに十分に実績のある部類です。

株価は順調な右肩上がりになっています。

中身は「優良大型株20〜25銘柄」

DIVOはインデックス連動ではなく、アクティブ運用のETFです。運用戦略はサブアドバイザーのCWPが管理する Enhanced Dividend Income Portfolio(EDIP) に沿って組まれます。

銘柄選定の考え方は明快で、配当と利益の成長実績を持つ優良大型株を20〜25銘柄。時価総額、経営陣の実績、収益、キャッシュフロー、ROEといった項目でスクリーニングします。セクターはS&P500の伝統的10セクターに比較的バランスよく配分したうえで、CWPが各種要因を見てオーバーウェイト・アンダーウェイトを判断します。

実際の中身がこちらです(2026年9月1日時点)。

銘柄ティッカー構成比
マイクロソフトMSFT6.23%
アップルAAPL5.33%
アムジェンAMGN5.27%
キャタピラーCAT5.14%
ビザV5.13%
ゴールドマン・サックスGS4.93%
JPモルガン・チェースJPM4.92%
シェブロンCVX4.71%
アメリカン・エキスプレスAXP4.11%
エヌビディアNVDA4.03%
メルクMRK3.52%
RTXRTX3.24%
CMEグループCME3.13%
アルファベットGOOGL2.98%
TJXカンパニーズTJX2.92%
ウォルマートWMT2.83%
ホーム・デポHD2.79%
フェデックスFDX2.41%
マクドナルドMCD2.41%
マラソン・ペトロリアムMPC2.30%
コカ・コーラKO1.91%
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドADM1.87%
デューク・エナジーDUK1.82%
アグニコ・イーグル・マインズAEM1.77%
フリーポート・マクモランFCX1.38%
CFインダストリーズCF1.09%
ベライゾンVZ1.07%
IBMIBM1.02%
サザン・カッパーSCCO0.52%

これが2026年9月1日時点の全銘柄です。運用方針では20〜25銘柄が目安とされていますが、この時点では29銘柄を保有しています

上位10銘柄で全体の約49.8%。29銘柄でこの割合ですから、特定の銘柄に大きく賭けるのではなく、全体的に均等に近い配分で運用されていると見ていいと思います。最大のマイクロソフトでも6%台です。

株式以外では、短期金利連動のETF(SOFR)が4.07%、政府系マネー・マーケット・ファンドが5.07%、現金が0.20%。合わせて約9.3%を現金同等物で持っています。オプションの決済や機動的な売買に備えた待機資金と見られます。

セクター配分は以下のとおりです。

セクター比率
金融23.33%
情報技術17.08%
資本財・サービス16.55%
一般消費財11.37%
生活必需品8.35%
ヘルスケア8.23%
エネルギー7.30%
素材4.49%
公益事業2.21%
コミュニケーション・サービス1.09%

※2026年6月30日時点

金融が2割強と最も厚く、情報技術、資本財がそれに続きます。S&P500と比べると金融と資本財に寄っているのが特徴です。純粋な高配当株の寄せ集めではなく、ハイテクも成長株も普通に入っている構成です。

なお、Amplifyは全保有銘柄を毎営業日公表しています。最新の構成を確認したい方はこちらからどうぞ。

「戦術的カバードコール」は何が違うのか

DIVO最大の特徴はここです。

比較対象として、投資対象が近いXYLDJEPIを挙げます。XYLDは、S&P500という指数に対してコールを売ります。一方、JEPIはELNを通じてS&P500指数などに連動するコール売りの仕組みを組み込んでいます。

対してDIVOは、保有している個別株に対してコールを売ります。ここが大きな違いです。

XYLDやJEPIの仕組みについては、カバードコール系ETFとは?JEPI・JEPQ・XYLD・QYLDを徹底比較【2026年最新】で詳しく解説しています。

DIVOの運用ルールは、ファクトシートに具体的に書かれています。

  • コールは個別株に対して売る
  • 権利行使価格は典型的に 5〜6%アウト・オブ・ザ・マネー
  • カバー比率は固定せず、通常はポートフォリオの20〜30%程度
  • 満期も固定ルールを置かず、短期のコントラクトを状況に応じて使う

常時フルカバーではなく、ポートフォリオの2〜3割にだけ、しかも今の株価より5〜6%高いところに網を張る。残りの7〜8割は、上がったら上がった分だけ素直に取りに行きます。

売るタイミングも裁量です。CWPは全ポジションを継続的にカバーする義務を負っておらず、その銘柄のオプションが高く売れる状況になったときに、機会を捉えて売りに行きます。

この「高く売れる状況」を少し噛み砕きます。オプションの値段は保険料と同じような決まり方をしていて、今後その株がどれだけ荒く動きそうかという市場の見込みが高いほど、買い手は高い値段を払います。この見込みを数値化したものがインプライド・ボラティリティで、決算発表の前や大きな材料が出そうな局面では跳ね上がります。

同じ株を同じ条件で貸し出しても、受け取れるプレミアムは局面によってまるで違う。DIVOはそこを狙って売りに行き、プレミアムが薄い凪の相場では無理に売らずに現物のまま持っておく、という設計です。

実際の建玉を見てみる

このあたりは理屈の話に聞こえるかもしれませんが、DIVOは全保有銘柄を毎営業日公表しているので、実際にどの銘柄にコールが建っているかを確認できます。

2026年9月1日時点で、コールが建っていたのは以下の8銘柄でした。

銘柄建玉
マイクロソフト(MSFT)9/18満期 権利行使価格$500
アップル(AAPL)9/18満期 $310
シェブロン(CVX)9/11満期 $215、9/18満期 $205
アメリカン・エキスプレス(AXP)9/18満期 $340
メルク(MRK)9/18満期 $165
ウォルマート(WMT)9/25満期 $110
ベライゾン(VZ)9/18満期 $48
マラソン・ペトロリアム(MPC)9/18満期 $370

保有29銘柄のうちコールが建っているのは8銘柄。構成比の合計で見ると約30%です。ファクトシートに書かれた「通常はポートフォリオの20〜30%程度」という記述が、実データでもそのとおりになっています。

残りの21銘柄——エヌビディア、JPモルガン、ゴールドマン・サックス、キャタピラー、ホーム・デポなど——には、この時点でコールが建っていません。つまり、これらの銘柄が上昇した分は、そのままファンドの値上がりになります。

満期がすべて9月中に集中している点も特徴的です。数週間単位の短期のコントラクトを回しながら、その都度どの銘柄に売るかを判断している様子が見て取れます。

そして、目標とするインカムの内訳も明示されています。

  • 配当収入:年2〜3%
  • オプションプレミアム:年2〜4%

合計で年4〜7%のグロスインカム。DIVOの分配金利回りが4〜5%台に落ち着いているのは、狙いを外しているのではなく、最初からそういう設計だからということです。

分配金の実績と、利回りの読み方

年間の分配金合計は、2017年の$1.11から2024年の$1.90まで、おおむね増える方向で推移してきました。ただし、一本調子ではありません。2020年は前年から微減、2022年は$1.83から$1.71へはっきり減り、2023年もほぼ横ばいでした。株価が調整した年には、分配金も伸び悩んでいます。「毎年必ず増える商品」ではない、という点は押さえておいたほうがいいと思います。

2025年の$2.87が突出しているのは、12月に$0.9534の特別分配(キャピタルゲイン分配)が入ったためです。これを除くと約$1.91で、前年の$1.90とほぼ同水準。2026年は8月までで$1.48です。

なお、2018年6月までは四半期分配で、同年7月から毎月分配に切り替わっています。グラフの積み上げ方が途中で変わって見えるのはそのためです。

利回りの数字については、ひとつ注意点があります。4.82%(年$2.34)という数字は、直近の月次分配金$0.19468を12倍した年換算値です。一方、過去12ヶ月の実績は上記の特別分配を含んで$3.01。どちらも「毎月これだけ受け取れる」という意味の数字ではないので、分けて見る必要があります。

経費率0.56%については、S&P500連動のインデックスETFと比べれば当然高いのですが、カバードコールETFの中で見ると突出して高いわけではありません。QYLDが0.60%、JEPQJEPIが0.35%。個別株を選んで裁量でオプションを売る手間を考えれば、妥当な水準だと思います。

一方で、裁量運用である以上、運用者の判断が外れれば結果に直結します。指数に連動するわけではないので、なぜこの成績になったのかを外から検証しにくいという難しさもあります。

たごさくの結論

商品としては素直に面白いと思います。ただ、私自身が今これを買うかというと、現状は買わないという結論です。理由は2つあります。

理由1:バリスタFIREを目指す立場では、外国税額控除の恩恵が薄くなる

米国ETFの分配金は米国で10%が源泉徴収され、そのうえで日本でも課税されます。これを取り戻すには、確定申告して外国税額控除を使うことになります。

ただ、外国税額控除には控除限度額があり、これは日本の所得税額に連動して計算されます。労働収入が減って所得税額が小さくなれば、控除できる枠もその分だけ縮みます。

現役で給与所得がしっかりある時期なら、申告の手間をかける価値は十分あります。ただ、私が目指しているのはバリスタFIRE——労働収入をかなり絞った状態です。その状態では控除の恩恵が薄くなるうえに、自分で申告する手間だけは毎年残る。それなら、ファンドの内部で調整してもらえる国内投信のほうが付き合いやすい、というのが今の判断です。

理由2:配当と成長の両立は、楽天JEPQですでにできていると考えている

DIVOの魅力は「利回り4〜5%台+優良大型株の成長」という組み合わせにあります。ただ、この「インカムと成長の両立」という点だけを見れば、私が保有している楽天JEPQでも成立していると考えています。

JEPQも全額にコールを掛けているわけではありません。純資産の最大20%をELN(仕組債)に振り向けてインカムを生み出し、残りを中心に現物株を保有しています。この現物部分がNASDAQ100の成長を取りに行く役割を担っているので、構造としては「インカム部分」と「成長部分」を持ち合わせた商品です。

利回りの水準も、値動きの荒さも、DIVOとは違います。ただ、両立という一点においては、すでに手元で機能している。であれば、二重課税の手間を新たに背負ってまでDIVOを買い増す理由が、今の私には見当たらない、ということです。

まとめ

DIVOという商品を整理すると、こうなります。

優良大型株20〜25銘柄程度を基本に持ち、その一部にだけ、5〜6%OTMのコールを狙って売る。利回りは4〜5%台と控えめですが、その分、値上がりをしっかり取りに行く設計。カバードコールETFの中では、かなり「株式寄り」の一本です。

指数まるごとにコールを掛けるタイプの利回りの高さに物足りなさではなく不安を感じている方には、選択肢に入る商品だと思います。

次回は姉妹ファンドのQDVOを取り上げます。正式名称はAmplify CWP Growth & Income ETF。同じ戦術的カバードコールを使いながら、主目的が値上がり益、従たる目的が高水準のインカムと、狙いが逆になっています。同じ運用チームが正反対の商品を作るとどうなるのか、中身を見ていきます。

免責事項:この記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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