JEPQと1489を比較してみた|配当金・増配率・将来受取額をシミュレーション

JEPQと1489の分配金比較を考える白猫キャラクター

投資をしていると、いったい何が自分にとって一番いい商品なのか、答えの出ないまま日々考えてしまいます。誰かに「比較してみよう」と言われるわけでもなく、自分の頭の中で勝手に比べては悩んでいる、という感じです。

今回はその中のひとつの思考実験として、JEPQ(米国のカバードコールETF)と、1489(日本高配当ETF)を題材に、数字を並べてみたいと思います。最初にお伝えしておくと、この記事の数字はすべて過去の実績をもとにした試算であり、将来を保証するものではありません。

高配当投資の話になると、「増配株を長く持つべき」「高利回り商品は危険」など、いろいろな意見があります。でも実際に数字を並べてみると、思っていたほど単純ではありませんでした。そしてその数字を眺めたうえで、最後に私自身がどう考えているかも正直に書いておこうと思います。

前提:30歳ならS&P500を積み立てる

まず前提として、もし私が30歳なら、迷わずS&P500の投資信託を積み立てていると思います。

ただ、年齢を重ねると、投資対象を見る視点も少しずつ変わってきます。

資産が将来いくらになるかだけでなく、

  • 今いくら受け取れるのか
  • 将来どれくらい増えるのか
  • 分配金はどの程度成長するのか

といった点も気になってくるのです。

そこで今回はJEPQと1489を比較してみました。

比較条件

今回は以下の数字を使用しました。

項目JEPQ1489
現在利回り10.0%3.0%
増配率4.7%11.5%
株価成長率4.7%9.9%
比較の軸株価成長=分配金成長分配金+増配

ここで一つ補足しておきます。JEPQには、1489のような「分配金そのものが独自に増えていく増配」というものはありません。JEPQの分配金の原資は主にオプションのプレミアムで、利回りはおおむね基準価額(NAV)の10%前後で推移してきました。つまり、JEPQは基準価額が伸びれば分配金もほぼ同じペースで増えるタイプです。そのため、JEPQの増配率は株価成長率と同じ4.7%としています。評価額が伸びた分だけ、受け取る分配金も増えていく、という考え方です。

一方の1489は、分配金の伸び(増配率11.5%)が株価の伸び(9.9%)を上回るタイプで、両者の数字が異なります。同じ「高配当」でも、増え方の仕組みが違うわけです。

数字の出どころも整理しておきます。1489の増配率11.5%は、2017年の設定(当初分配金ベース)から2025年までの年間分配金実績から計算した年平均成長率(CAGR)です。株価成長率9.9%は、同じく2017年の上場時から2025年末までの価格推移から算出した年率に基づいています。一方JEPQの4.7%は、2022年5月の設定(基準価額50ドル)から直近の約60ドルまで、約4年間の値動きを年率に直したものです。

いずれも過去の実績値であり、この水準が今後も続くと決まっているわけではありません。とくにJEPQの4.7%は、ハイテク相場が好調だった期間の数字です。カバードコールは値上がりの上側を抑える仕組みなので、横ばいや下落の相場では基準価額が伸びにくい点には注意が必要です。あくまで「実績どおりに推移したら」という仮定として読んでください。

年間分配金の逆転シミュレーション

100万円を投資した場合を考えます。

JEPQは利回り10%、年間分配金は今のところ約10万円です。これが基準価額の成長(年4.7%)に合わせて毎年増えていくと仮定します。一方の1489は利回り3%・3万円からスタートし、毎年11.5%増配すると仮定します。両者を並べると次のようになります。

経過年数JEPQ年間分配金1489年間分配金
現在10.0万円3.0万円
5年後12.6万円5.2万円
10年後15.8万円8.9万円
15年後19.9万円15.4万円
20年後25.1万円26.5万円

10年後に評価額が約158万円になる頃には、JEPQの分配金もその10%にあたる約15.8万円まで育っている計算です。

ここがポイントで、JEPQの分配金も止まっているわけではなく、ゆっくり増えていきます。そのため、1489が年間分配金で追いつくのは20年後あたり。スタート地点で約3倍の差があり、しかもJEPQ自身も増えていくため、11.5%という強い増配率をもってしても逆転には時間がかかるのです。

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累計受取額の比較

年間の金額だけでなく、累計でどれだけ受け取れるかも計算してみました。JEPQの分配金も4.7%で増えていく前提です。

経過年数JEPQ累計1489累計
10年130万円57万円
20年335万円228万円
25年480万円413万円
30年661万円733万円

累計では、25年が経過してもまだJEPQがリードしています。1489の累計がJEPQを追い抜くのは、計算上はおよそ28年目あたりです。

増配率11.5%という数字はとても強力ですが、スタート地点の利回り差が大きいうえ、JEPQ自身も増えていくため、累計で追いつくにはかなりの時間がかかります。50代から始めることを考えると、28年というのは現実的にはほぼ「生涯JEPQが上」と言ってもいい時間軸です。

参考:株価成長まで含めた場合

ここまでは分配金だけを対象にした思考実験でした。

参考までに、株価成長も含めて考えてみます。JEPQは株価成長率4.7%、1489は株価成長率9.9%が今後10年間続くと仮定します。

100万円を投資した場合の、10年後の評価額は以下のとおりです。

商品10年後評価額
JEPQ158.3万円
1489257.1万円

これに累計分配金を足したトータルリターンは、次のようになります。

商品10年後評価額累計分配金合計
JEPQ158.3万円130.0万円288.3万円
1489257.1万円57.0万円314.1万円

差額は約25.8万円。トータルで見ると1489がわずかに上回りますが、その差は思ったほど大きくありません。10年という時間軸で見れば、両者はほぼ互角に近いと言ってもいいでしょう。

なお前提として、JEPQは利回り10%が基準価額に対して一定で、評価額の成長(4.7%)に合わせて分配金も増えるとしています。1489の株価成長率9.9%は上場以来の実績がそのまま続くという前提で、これはかなり強気なシミュレーションです。一方JEPQの4.7%も、好調な相場が続いた期間の数字です。両方とも「強気の前提を置いたらこうなる」という見方をしておくのがいいと思います。

株価成長を含めた比較への違和感

さて、ここまでの数字を見ると「やっぱり1489のほうが有利じゃないか」と思えてきます。

ただ、この「株価成長まで含めたトータルリターン比較」には、私はずっと小さな違和感を持っています。

株価成長を頼りにキャッシュフローを作るということは、結局のところ、値上がりした分を売って取り崩すという話です。

だとしたら——その目的のために、普通の高配当ETFを選ぶ必要が、本当にあるのでしょうか。

株価成長+取り崩しでキャッシュフローを作るのであれば、そもそもS&P500のようなインデックスを持って、必要な分だけ売ればいい。トータルリターンで勝負するなら、コストも分散も効いているインデックスのほうが素直です。高配当ETF特有のリスクや、分配金にかかる税金を引き受ける理由が、あまりなくなってしまいます。

つまり、私が高配当・高利回りを選ぶ理由は、トータルリターンを最大化したいからではありません。今のキャッシュフローを良くしたいからです。売らずに、現金が手元に入ってくる。その一点に意味を感じているのです。

このあたりの考え方は、別の記事でも書いています。

私がインデックス×高配当のハイブリッドを選んだ理由

ただし、JEPQには為替リスクがある

ここまで円換算で話を進めてきましたが、JEPQには見逃せない弱点があります。為替リスクです。

JEPQはドル建ての商品です。この記事を書いている今、ドル円は約160円。歴史的に見てもかなりの円安水準です。もしこの先、円高に振れれば、ドルでいくら分配金が出ても、円に直したときの金額は目減りします。仮に160円が130円になれば、それだけで受取額は2割近く減る計算です。

日本に住み、円で生活していく以上、この為替の振れは無視できません。せっかく10%の利回りでキャッシュフローを得ても、円高でその一部が削られるなら、手取りの安定感は思ったほど高くないのかもしれない。

だからこそ思うのです。理想は、円建てで10%の利回りを出してくれるカバードコール商品ではないか、と。為替を気にせず、円のまま受け取れて、JEPQ並みのキャッシュフローが得られる——そんな商品があれば、迷わずそちらを選びます。今のところ、そこまで都合のいい商品にはなかなか出会えていません。そんな商品が出てくることを、願ってやみません。

たごさくの結論

ここまで数字を並べてきましたが、正直に言うと、きれいな結論は出ていません。

キャッシュフローという一点だけで見れば、答えはJEPQです。今いちばん多く現金が手元に入ってきて、しかも売らずに受け取れる。その魅力は、こうして数字を並べてみてもやはり大きい。年間で1489に追い抜かれるのは20年後あたり、累計でも28年後あたりですから、私の年齢から考えれば、受取額はほぼ生涯JEPQが上ということになります。

ただ、本当に「JEPQだ」と決め切るなら、これからの投資をJEPQに寄せていく覚悟が要ります。これは思っているより重い決断です。為替リスクもある。10年・20年と時間が経てば、トータルリターンでは1489のほうが前に出るかもしれない。そもそも利回り10%や株価成長4.7%が、この先も続く保証はどこにもありません。

結局のところ、これはあくまで思考実験です。過去のデータをいくら並べても、実際の未来は誰にも予測できません。だからこそ悩むし、こうして何度も数字を並べては、自分は本当はどうしたいのかを確かめようとしてしまうのだと思います。

なぜ完全FIREではなくバリスタFIREを目指すのか

理論で考えればインデックス。キャッシュフローで考えればJEPQ。その間で揺れながら、今日もまた一つ、思考実験を書いてみました。きっとまた、別の角度から比べたくなる日が来るのでしょう。

免責事項:この記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。また、記事内のシミュレーションは過去データをもとにした思考実験であり、将来の運用成果を保証するものではありません。

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